教科書で最も有名な小説か?
さて、頻出の小説教材を紹介するにあたって次に紹介するのは、中学校2年生向けの教材である『走れメロス』です。おそらく、義務教育を受けた方の中にこれを扱わなかったという方はいらっしゃらないのではないでしょうか。この『走れメロス』は文豪太宰治によって著された代表作です。その内容は、小村の若者であるメロスが街に妹の嫁入り道具を揃えるために訪れると、どうも街の様子が静かすぎておかしいということに気付きます。そこでその理由を街の老人に詰問すると、王が人を信じることができないために、多くの人たちが処刑されてしまった、という話を聞き、メロスは激怒して王宮に殴りこみ、王に向けて意見をしに行きました。その途中で衛兵に捕まったメロスの懐には短刀があったために話が複雑化し、王はこれだから人は信用できないとこれ見よがしに嘆いてみせます。それに対してメロスは、自分なら処刑されてもいいが、妹だけは嫁入りさせてやりたい、3日で帰ってくるから一度見逃してくれ、と言い、王はどうせいなくなるだけだと拒んだので、メロスは街にいる親友の石工セリヌンティウスを人質として置いていくため、3日経っても戻らなければ代わりに殺して良いという取引をし、王はそうしてセリヌンティウスが見捨てられて死ぬのを見るのも面白いとしてこの取引を受け、メロスは走って村へと帰ります。そして村で妹の結婚式を予定より早めて行い、義弟に妹のことを頼むと託して次の日に街へ向けて走り出しました。途中で山賊に襲われたり、川の氾濫などに阻まれて一度は諦めかけますが、それでもメロスは走り続けて約束の時間ギリギリに王宮へと帰還します。その時メロスは一度諦めかけたことを告白して、セリヌンティウスにその頬を一発殴らせ、セリヌンティウスも一度メロスを疑ったことを告白して、メロスに頬を一発殴らせてから、強く抱き合いました。その様を見て王はついに人を信じる素晴らしさを知り、自分も仲間に入れて欲しいと言う事で話が完結します。 二人の友情を描いた名作であるこの『走れメロス』が教材として取り上げられる際によく問われるのは「何故、最後に一発づつ殴らせあったのか」ということでしょう。感情の機微の難しさですが、この二人は真の親友であり、隠し事をしたくなかったこと、また、間違っていることを親友にただして欲しいという気持ちで、殴り合ったというのがよく言われる模範解答です。 ちなみにこの『走れメロス』は、太宰治の実体験で、旅館の料金が足りなかったときに友人を人質に置いて財布を取りに行ったというエピソードから作られたといいます。なんとも人間らしさのある、面白い作品だといえるでしょう。
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